西井ゼミ 授業内容
西井ゼミとは

西井ゼミで取り扱うのは、知的財産法。知的財産法とは、特許法や著作権法など、知的財産に関わる法の総称です。知的財産法が保護する物は、発明や音楽、情報など、形がないのが特徴です。

名古屋大学の知的財産法ゼミは現在2つ。今回取材した西井ゼミでは、発表者の報告の後、グループに分かれてディスカッションが行われます。報告内容は発表者に一任されており、自分の関心があるテーマを選びます。

ゼミの様子1
ゼミ内容:「クレーム解釈」って何!?

この日のテーマは「クレーム(特許請求の範囲)解釈」。特許を取得する際には、特許庁に様々な書類を提出して手続きを踏む必要があります。そして、その書類を基に、特許権の具体的な範囲が決められます。

原則、クレームに書かれているものと全く同じものを作れば、特許権を侵害することになります。では、クレームに書かれていることに、少しだけ違う要素を加えた場合はどうなるでしょうか?原則に立ち返れば、これは特許権侵害とはなりません。つまり、少しでも変更を加えれば、その特許は他の人も使い放題だ、ということになります。これでは何かおかしいな、と感じませんか(もちろん、感じなくても構いません)。

そこで、クレームとは少し違っていても、どこまでであれば特許権の範囲となるか、を考える必要が出てきました。この解釈次第で、権利者にとっては自分の権利の範囲が、被疑侵害者にとっては自分の行動範囲が定まるのですから、非常に重要な問題ですよね。

発表中は、随所随所に質問コーナーが設けられます。基本的には学生同士で答えを探しますが、どうしても分からない時には先生が教えてくれます。このゼミの特徴は、やはり知的財産法ゼミなだけあって、引用の方法に厳しいところです。

ゼミの様子2
ゼミの醍醐味!熱い議論

議論の時間には、発表中に紹介された学説や判例について検討します。議論では、その説に納得できるかどうか、や、法律を使う人にとって分かりやすいかどうか、などが論点となります。熱が収まるまで議論が続きましたが、結局、決着がつくことはありませんでした。法律の世界に、絶対的な正解はありません。学者の説は、それぞれに論理構造があり、どれもが一定程度説得的です。考えることが好きだ、解のない問いを追い続けることが好きだ、というそこのあなた、法律学の世界に足を踏み入れてみませんか?