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インデックス
基礎研究、Translational Research、臨床試験から医療行政へ
本日の話の流れ
1. Brief Biography
「そもそものはじめは紺の絣かな(安東次男)」ブリューゲルへの旅 中野孝次
東大医学部問題に端を発した大学紛争による混乱
激動の時代というか、日本がまだ若い国だった頃
1975年3月卒業
医学部を卒業したらできるだけ早くアメリカに
2. 基礎研究とTranslational Research
1979年より名古屋大学第一内科(当時)にて珠玖洋先生に師事
1981年より、珠玖洋先生と渡辺正先生の紹介で…
ニューヨークでは大腸癌、膵癌の腫瘍特異抗原に対するmAbを…
コロンビア大学時代から糖鎖の研究をしていたDr. Kenneth O. Lloydから、…
Dr. Lloydが提供してくれた精製した血液型糖鎖抗原はABO抗原の他、…
これらの抗Lewis mAbを用いて血液型の分泌型、…
血液型糖鎖の基本構造と唾液における発現
複雑な糖鎖の微妙な違いを見分けることができるmAbを開発したことにより…
免疫染色で大腸下部ではLeaが分化抗原、…
大腸癌患者5名より、正常大腸組織と大腸癌組織を等量採取して、含まれている糖脂質を定量
帰国後は名古屋大学の腫瘍研究室において、Dr.渡辺正と胃癌におけるLewis抗原の発現を検討
また、個々の症例のSecretor statusによって…
残った2株のmAbのうちのひとつmAb H-15は…
H-15はsialyl-Leaに対する…
Characterizationに成功したmAbのうちの最後のひとつは、…
Reactivity of Monoclonal Antibody A33 with Tumor and Normal Cell Lines
Immunohistochemical analysis of A33 antigen in human tumors
Immunohistochemical analysis of A33 in normal human tissues
Western blot analysis of Triton X-100 …
Western blot analysis of the A33 antigen bu an antipeptide lgG
cDNA sequence and deduced amino acid sequence of …
Kyte-Doolittle hydrophilicity plot of the deduced amino acid sequence of the A33 antigen
A33抗原の生物学的、生化学的…
A33抗原が大腸癌においてきわめて強く発現していることから、…
臨床におけるmAbA33の有用性を検討するため、Dr.Weltを中心にPhase Iの臨床試験を行った
腫瘍イメージング
Resected hepatic metastasis and surrounding liver issue …
治療研究
Comparative pre- and post treatment CT scan images …
続いてオーストラリア・メルボルンのLudwig 癌研究所groupと提携して…
Anterior whole body gamma camera images …
Transverse image of the liver by SPECT (upper) …
Efficacy in a Phase I Study of Combination Chemotherapy and …
Serial serum CEA lavels and HAHA levels …
日本においてはA33抗原が胃癌症例の約半数に発現していることが明らかになったため、…
Patient Characteristics
Case #1 biopsied specimen (x100)
13例中、癌部のA33抗原陽性7症例ではガンマカメライメージングで4例が…
Future Targeting Therapy for Gastrointestinal cancers
3. 臨床研究、臨床試験
当時の医学研究者の多くと同様に、まず基礎研究、…
ベニスといってもサン・セルボロ島という…
1987年European School of Oncologyのセミナーで…
世界をリードする生物統計学者たちとの知己も得た
日本でもきっちりとしたRandomized Trialができるようなシステム作り、意識改革を行う必要
非特異的免疫療法-日本における苦難の歴史
1988年から始まった非特異的免疫療法剤へのバッシング
PSKのBiotherapy
S1,S2症例についてこれまでPSKの効果を評価した TGOGとSACGの二つのrandomized trialのEBMデータ
Odds ratios for 2 adjuvant immunochemotherapy trials of PSK for gastric cancer after curative resection
TGOG、SACGの臨床試験で示唆されたことは(S1+S2)の…
Survival Curves
免疫化学療法が効果を示すのは?
第3次研究での留意項目
Overall Survival
Disease-Free Survival
6年前に厳しい批判をしたマスコミも一面掲載で高い評価
しかし、物事はそう簡単ではなかった。
慶應大学の近藤誠講師がLancetに厳しい批判となるLetters to the Editorを投稿
Lancet編集部の要請により投稿した…
演者にはその後Lancetから日本発の臨床研究に関する意見を求められるようになった。
さらに日本独特の病理診断基準や統計手法などについてもEditorialの執筆を求められた
次は経口抗癌剤の効果に対するエビデンスの評価にチャレンジ
経口フッ化ピリミジン製剤と手術単独療法を比較した大腸癌に対するRCT
最初に行ったメタアナリシスでは、企業主導の臨床試験の症例個別データが中心であったためか…
治癒切除大腸癌に対する経口フッ化ピリミジン療法と手術単独療法を比較したメタアナリシス(無再発生存)
治癒切除大腸癌に対する経口フッ化ピリミジン療法と手術単独療法を比較したメタアナリシス(生存)
研究グループとしては…
次は欧米では充分な症例集積が得られにくい胃癌に対する化学療法…
世界で行われた胃癌の臨床試験の症例個別データを、200以上もある試験のtrialist達に提供してもらうよう交渉
シカゴで開催されているASCOでは…
こうした努力の結果、胃癌化学療法が…
Kaplan-Meier生存曲線の比較でも明らかな効果
臨床試験を主宰する研究グループの長の資質も…
臨床試験の運営に精通しているということで、…
CASE-J試験のデザイン
生活習慣病に対する大規模比較対照試験(RCT)
これまで日本で繰り替えされてきた、今まで通りの方法で計画をたて、…
1.しっかりとした組織
2.必要かつ充分な資金
2.資金運営のバッファリング
3.しっかりとした人的資源の開発
Cumulative number of patients from the randomization
Final Follow-up rate in CASE-J in 2006
京都大学で大規模比較対照臨床試験の運営、管理の実務を担当して明らかになったこと
4.医療行政の分析と提言
演者は2006年より、京都大学より、名古屋大学に移り、ヤング・リーダーズ・プログラム(YLP)を担当
日本では既に1958年に国民健康保険法が改正され、…
様々な健康保険への国民の加入率
1961年「国民皆保険制度の完成」
戦後成長期の日本の医療保険の充実
1973年には老人福祉法が制定され、老人はすべての医療を無料で受けられることになった。
日本の手厚い保険医療のさらなる充実
日本の医療保険制度の特徴
1.国民皆保険制度
2.出来高払い制度
多くの国では診断名に応じて支払われる 医療費が決められている
3.フリーアクセス
4.自由開業制度
1. 国民皆保険制度で何がおこるか
国民皆保険制度ができた1961年には5130億円だった医療費は、…
病床数が増加し、老人は好きなだけ…
2.出来高払い制度で何がおこるか
国別の平均入院日数
出来高払い制度
日本国における医療費総額の増加
3.フリーアクセスにすると何がおこるか
地域の基幹病院に、単なる風邪や軽度の腹痛などで受診する患者が多くなる …
国公立の病院の勤務医の収入は決して高くはない …
医師の収入は実働時間では、他の職業と比較してよくはない
4. 自由開業制度で何がおこるか
現在考えられている対策
こういった様々な事情があるにもかかわらず…
また、「過剰医療」を抑制するための政策として考えられたのが
そういった厚生省の対策、努力にも拘わらず…
これは不思議でもなんでもない
日本の平均寿命は先進国の中でもNo.1
それだけではなく日本の医療は…
西暦2000年ごろ、日本の医療に対する評価は高かった
日本の医療水準(まとめ)
1990年代におこったバブル崩壊
バブル経済とその崩壊
税収と歳出総額の変遷
1990年代に入って日本の税収入の…
医療改革、医療費削減のために厚生労働省が最近行った対策
2006年、診療報酬改定→…
厚生労働省は医療費の増大をどのようにしてくい止めようとしているか?
被保険者本人が支払う自己負担率の変化
老人のための特殊な医療保険システムの構築
健康保険の見通し、運営を医療だけでなく、…
後期高齢者医療制度(長寿医療制度)
後期高齢者医療制度が施行されることによってどのようなことが起こってくるか?
疾病が悪化して耐えられなくなるまで…
この新しい後期高齢者医療制度のもと…
後期高齢者医療制度は2006年に制定され、…
保険料を支払わないと今度は自動的に保険証が取り上げられる。=…
法律の制定(2006年)と施行(2008年)の間にタイムラグがあったため、…
最近の老人医療行政に関する今一つの問題点
療養病床とは、慢性の病気のために…
1996年には療養型病床を増加させるような政策を…
現在の医療行政は財政の安定化と若年層の負担を軽減する方向に…
3.Diagnosis Procedure Combination(DPC)の導入
日本においては独自の診断群別分類として…
その他の大病院、中病院も…
DPCの目的は不必要と思われる頻回の血液検査や画像診断、…
しかし!もし病院や診療所が赤字ならば…
このように、DPCを導入した場合…
DPCの効果としては平均在院日数の減少や救急入院患者数の増加、…
きわめて大きな不安はDPCの医療費設定が…
例えば、日本では外科手術における拡大郭清は標準手術手技であったが、…
4.医療費自体の削減
医療保険における医療費は中医協と厚労省によって…
2001年から2007年にかけての医療報酬の増加率
例えばリハビリテーション日数の上限が定められことにより、…
そんなことを言ったって、日本国の財政赤字は1000兆円近くもあるではないか
公共事業と社会保障への国庫支出額/国内総生産(GDP)
社会保障への国庫支出額/国内総生産(GDP)の推移
OECD加盟国の医療費の状況
そんなことを言ったって、日本の医療費は30兆円以上もかかっているではないか
人口1000人当り医師数の年次推移
日本の医師は他の先進国の医師に比べるとまだまだ数が少なく、…
各国医師達の一週間あたりの勤務時間
社会保障財源の対GDP比の国際比較
日本の医療費の対GDP比率は先進国では最低
医療費に対する患者の実効負担率
公的な医療保険のある先進国で個人負担分は日本が世界一
しかし公共事業と社会保障の国庫支出割合を比べてみると
例えば、自助努力重視の国アメリカにおいても、…
それでも日本の医療は世界で一番効率が良いうえに著しく安価である
医療費削減政策により、一生懸命最善の医療を行おうとしている病院ほど赤字に
倒産や医師の「逃散」により、医療は崩壊寸前
現在最も深刻な事態は産科医の劇的な減少
医師に対する嫉妬と偏見に基づいた…
2007年11月15日の読売新聞の一面で、…
いまひとつ深刻になってきているのが小児科医療
仕事の過酷さと低い評価に、外科医を希望する医師も激減し始めている
11月16日の東京新聞(名古屋では中日新聞)の記事
演者が入局した頃の外科医局の「番付ボード」
一般病院の勤務医は大きなジレンマのなかで働いている
医療は防衛、警察、消防、教育と類似の社会的資産であり、…