
工学部・工学研究科の教育
工学分野を目指す人へ
「工学」は、科学を人や社会に役立つ技術へと展開する総合的な学問分野です。その対象は広く、化学、材料、電気、機械、エネルギー、建築、土木など多岐にわたっています。産業革命以降、機械化は大きく進展し、ものづくりはめざましい進展を遂げ、それにともなって人々の生活も大きく様変わりしました。一方、現在に至るまでに地球環境問題や化石燃料や資源の大量消費と枯渇などの問題もクローズアップされています。また,工学の担う範囲は、従来の分野だけでなく、医療や創薬、エネルギーや環境,あるいは防災など、大きく広がってきています。最近では、人工知能の急速な高度化が、近い将来、人々の生活や社会構造を大きく変えようともしています。このような情勢の中で、より高いレベルで「工学」を修め、直面する課題に果敢に挑戦し、持続可能な社会の実現に「工学」から貢献することを目指していただきたいと願っています。緑あふれる本学で私たちと共に「工学」を学び、工学分野で「勇気ある知識人」として、人類・社会の将来の発展のために活躍して下さい。
部局長インタビュー
水谷法美 教授
工学部・工学研究科長の水谷法美教授に5つの質問に答えて頂きました。
1. 工学部・工学研究科の強み(醍醐味)を教えてください。
資源のない日本では、イノベーションを牽引する人材が必要で、特に工学の研究者・技術者への期待がますます高まっています。名古屋大学工学部・工学研究科では、世界を代表するものづくり産業の集積地に位置する研究中心の総合大学の一員として、産官とも連携しながら先導的な研究を実施しています。
2. 工学部・工学研究科の学生に大学生活を通じてどんな風に育って欲しいですか?
最近、研究やプロジェクトのリーダーに求められる資質として、総合力や人間力を意味するコンピテンシーが重要と言われています。コンピテンシーを高めるためには、専門的な知識だけでなく、教養 (リベラルアーツ) が必要です。インターネットが普及し、検索すれば、すぐに関連情報を得ることはできますが、うわべの知識はすぐに忘れてしまいます。
多くの知識をリンクさせて、これらを「知恵」として発揮するには教養が必要で、これこそが新しいアイデアを生み出す原点であり、失敗しても、価値あるものを見つけ出すセンス、能力に結び付くと信じています。また、今後はこれまで以上にグローバル化が進みます。グローバルに活躍するには、自国だけでなくそれぞれの国や地域の文化を知ることも重要です。教養を高め、現代社会で直面する諸問題に果敢に挑戦し、グローバルに活躍するリーダーとして育っていただきたいと思います。
3. 工学部・工学研究科のビジョンを教えてください。
工学部・工学研究科では、世界を代表するものづくり産業の集積地である中部地区の中心的研究大学として、より良い工学系人材育成の期待に応えるため、工学基礎教育を重視すると共に、専門性と総合性を備えた人材育成を目的とした教育組織とカリキュラムを再編成し、学部及び大学院を一体で平成29年度に改組を行いました。再編成した7つの学科に直結する複数の専攻(専攻群)を構成し、学部・大学院を一体としたシームレスな体制とし、基礎教育3年、専門教育3年(学部4年+博士前期課程2年),さらに高度専門教育3年(博士後期3年)の【3+3+3型教育システム】を開始しました。この新しい体制のもと、グローバリゼーションが加速する国際情勢、新しい価値創造や技術革新をもたらす人材育成や年齢分布が逆ピラミッド型に変わってゆく状況における社会的なニーズなどの工学分野をめぐる情勢に対応します。
4. 水谷先生ご自身が学生であったとき、印象的な授業はありましたか?
専門的な内容は新鮮に思えましたし、特別講義の際に企業の方から話していただいた実際の現場で直面した課題やそれを克服した経験談、そこに講義で習った知識が活かされていることを聞いたことが印象に残っています。
5. 高校生(工学部へ入学を希望している学生)へのメッセージをお願いいたします。
工学分野では、社会に出てからも非常に多くのやりがいを感じる世界が広がっています。そして大学・大学院で学んだ知識や取り組んできた研究がそのやりがいを大きくしてくれるはずです。名古屋を一望する緑あふれる東山の地で、みなさんと自由闊達に意見を交わし、世界に向けて研究成果を発信することを楽しみにしています。
(平成30年9月1日)