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開講部局:理学部・理学研究科
田原譲 教授
最終講義ーX線で探る熱い宇宙-中性子から銀河団まで
授業時間: | 2016年度退職記念講義 |
日時 : | 2017/3/6 13:30-14:30 |
場所 : | 理学部南館 坂田平田ホール |
名古屋大学での37年
1980年 4 月に、後に学長にもなられた早川幸男先生率いる宇宙物理研究室(U研)に赴任してまいりました。以来37年間名古屋大学で研究・教育をさせていただきました。お世話になった諸先輩・同僚の方々、また技術職員・事務職員の皆 様に深く感謝いたします。
私の専門は宇宙物理学・X線光学で、特に人工衛星を用いたX線天文学の研究を中心に行ってまいりました。最初の仕事は、当時学内にあったプラズマ研究所の大型計算機を用いて日本初のX線天文衛星はくちょうのデータを解析し、中性子星を含むX線天体の研究を行うことでした。以来、都合 6つのX線天文衛星の開発と、銀河・銀河団まで広げた天体の観測的研究を行ってきました。また研究に必要な実験観測装置を自ら作る伝統のある研究室・研究科にいて、私もX線検出器・X線望遠鏡の開発にも携わり、性能向上の難しさを感じつつ新型の望遠鏡開発にも挑戦しました。
37年間の研究・教育を振り返ると、当初の良い意味でのゆったりした時間感覚が次第に失われ、多忙化が進んできたように感じています。その一端には、凄まじい量の情報をどこにいても瞬時に手に入れられる、高度情報化社会の浸透がありますが、物理学の王道である原理追求の観点からは、それほど急には変わらない本質を見抜く力がますます問われているように感じます。退職にあたり、後進に向けそんな力がつくような何らかの情報伝達ができたら、と思っています。