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開講部局:文学部・文学研究科
小川正廣 教授
最終講義ー西洋古典と現代ーホメロスの逆襲
授業時間: | 2016年度退職記念講義 |
日時 : | 2017/02/14 13:00~ |
場所 : | 文学部237講義室 |
思い残すこと
名大に27年間務めました。最初は文学部の共通講座に属してギリシア語・ラテン語を教え、赴任後 7 年目の大学院重点化では、周囲に支援されて西洋古典学という新講座を立ち上げることができました。その後20年間、古典教育を通じて様々な学生に出会い、また自分の西洋文化研究も存分にさせていただきました。特に文学研究科という多彩な人材に溢れた学問的環境の中で多方面に視野を広げ、専門研究の新しい可能性を探ることができました。
独法化前後の数年間には、微力ながら大学運営のお手伝いをした経験も忘れられません。実務的部分はかなり記憶から消え去りましたが、法人化前の最後の総長・故松尾稔教授が、名大学術憲章を定めて、冒頭に「勇気ある知識人を育てる」という言葉を敢然と掲げられたときの衝撃はまだ胸に残っています。しかし、その後を省みれば、自分は「勇気ある知識人」の育成にどれほど貢献できたのだろうか、率直なところそんな一片の思いが残ります。
名大憲章には「論理的思考力と想像力に富んだ勇気ある知識人」とあります。これは、「論理的思考力と想像力に富み」かつ「勇気ある」知識人という意味でしょう。では「勇気ある知識人」とはどんな人物のことか。それは、ただの「知識」 人ではない、「勇気」も具えた人を指しますが、それでは「勇気」ある人とはどんな人間か? その真意について、21世紀の名大に在職した者の証として、今後も考え続けたいと思います。