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開講部局:法学部・法学研究科
紙野健二 教授
最終講義ー法治主義のトリアーデ
授業時間: | 2016年度退職記念講義 |
日時 : | 2017/3/11 14:00~15:30 |
場所 : | 法学研究科第三講義室 |
時代と空間を越えて
私は1993年から24年間お世話になりました。1970年に法学部に入学し、大学院と助手も含めての10年をあわせると34年間になります。学部入試会場が工学部の旧一号館で、よそ者ながらあの建物は好きだったので、なくなったのにはがっかりしました。講義を受け、演習をし、書を読み、覚醒させられ、ささやかな学問的達成感を持ったのは、改築前の法学部棟においてでしたが、学部生や院生が集い談笑するための学生控室も今はありません。空間の貧困が、思考とその交換の貧困につながらなければ幸いです。
私にとって、普通の学生の楽しかった時代はともかくとして、研究者になりたいと思いつつも、あるいは任せられた責任の重さに、非才の私ごときがここにいることなど、ふさわしくないのではないか、そのように思わない日々はありませんでした。長谷川正安先生や室井力先生を始めとする多くの先達から、優秀な現在の同僚の方々や後任の皆さんへ、理論的実践的なバトンを引き継ぐことができたか、私にとって、内なる検証と問いかけが始まります。諸条件は変わりま すが、大学が学術の府として、社会や国家そしてこれらの変動とどのように向き合うのかが問われます。時にはさまざまなレベルでの政治に揺さぶれられつつも、学術の発展は、時代と空間を越えた大学の責務です。長い間、ありがとうございました。