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開講部局:環境学研究科
林良嗣 教授
最終講義 - 土地利用交通モデル発-QOL経由-国土デザイン行き(研究編)
授業時間: | 2015年度退職記念講義 |
日時 : | 2016/3/23 15:30- |
場所 : | 環境総合館1階 レクチャーホール |
自由を与え、育てていただいた名大に感謝
私の研究は、交通インフラが整備されると、住宅や商業、工業の施設が立地し経済利益が出るが、地価上昇益は地主に帰着するメカニズムを表現する「土地利用モデル」開発からスタート。その不労利得を如何に事業者や公共に還元するか(「受益と負担のバランス」)、環境影響を如何に減らすかの方策を求めてきました。
その実践として、1) 東京湾アクアライン、 2) つくばエクスプレス、 3) 鉄軌道によるバンコクの超渋滞解消と都市再生、 4) 四日市港霞4号幹線の紛争調停、そして 5) リニア中央新幹線の問題に研究成果を組み込む形で関わりました。そして今たどり着いたのが、人口減少高齢社会で人々の幸福度 QOL(ブータンで有名となった)を向上させる都市のスマートシュリンク(人口が半減するなら、維持する市街地も半分に縮小する)への研究の応用です。
私は公害の町となった四日市で育ちました。幼い頃は美しい空と海であったのが、小中高と学校に通っているうちに20kmの海岸線が石油化学工場に占拠され、甚大な公害に見舞われたが、公害裁判により1年後には美しい空と海が戻ったことを自らが体験しました。34歳で北イングランドのリーズ大学に滞在して失業率30%の世界を体験したこと、42歳でGDPが上昇するほど大渋滞と大気汚染に喘ぐ途上国大都市バンコクと出会ったことが、自分を大きく変えました。こんな自由な機会を与えてもらった名古屋大学に、心より感謝をしています。