
- ホーム >
- 退職記念講義アーカイブ >
- 退職記念講義2015 >
- 最終講義 - 小児骨髄不全症の診断と治療の進歩 >
- 授業ホーム




開講部局:医学部・医学系研究科
小島勢二 教授
最終講義 - 小児骨髄不全症の診断と治療の進歩
授業時間: | 2015年度退職記念講義 |
日時 : | 2016/3/18 16:00- |
場所 : | 基礎研究棟 (講義棟) 4階第4講義室 |
小児科医としての40年
名古屋大学に奉職して16年になりますが、よく言われる医学部教授の研究、教育、診療の3つの使命のなかで、私にとっては診療の占める割合が最も大きなものでした。小児科医としての40年間に小児病院と大学病院に勤務しましたので、その相違について言及してみたいと思います。まず、最初に触れておかなければならないのは、日本の小児病院が、海外の小児病院とは、違った形態をとっていることです。海外の小児病院は、そのほとんどが大学附属です。一方、わが国の小児病院は、最初に設立された東京の成育医療センターから愛知の小児病院まで、大学とは独立しており、距離的にも離れています。多くの小児病院は、研究施設が併設されておりませんので、診療に特化しております。小児病院は、患者数は多いものの、基礎研究の成果に基づく、新規治療法の開発を行うことが困難です。一方、大学病院の小児科は病床数が限られており、新規治療法を実践する症例数が足りません。このような状況が、日本の小児医療の停滞を招いたひとつの原因と考えています。アカデミア発の新規治療法の開発には、先端を担う小児医療の形態から再考する必要があると思います。最後に、名古屋大学が医療の分野において、アカデミアとしての存在感を増し、日本の医療の発展に益々寄与することを願ってやみません。