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開講部局:文学部・文学研究科
嶋田義仁 教授
最終講義 - 地球人類の人類学をめざして
授業時間: | 2014年度退職記念講義 |
日時 : | 2015/2/27 15:00-16:30 |
場所 : | 文学部237講義室 |
大地を駆ける
文学部が大学院化した2000年に着任して、15年間お世話になった。
比較人文学という大学院専担の研究室であるが、専門は宗教人類学。日本の神話研究や民俗学研究によって『稲作文化の世界観』を書いたが、専門はアフリカ研究といってよい。15年間、アフロ・ユーラシアの空を飛び続けた。
そのあげくに、「牧畜文化解析によるアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明とその現代的動態」という課題で科研費(S) を取得。毎年20数名をアフロ・ユーラシアに派遣。基本思想は、アフロ・ユーラシア内陸乾燥地こそが人類文明の形成発展地だということ。なぜならそこには、大地を自由にうごき、ヒトと物資を交流させる大型家畜がいたからだ。アフロ・ユーラシア内陸乾燥地は大陸のグローバル交流の先進地だった。このアイデアは今後もおいつづける。
しかしもうひとつのアイデアがある。それは人類の形成は地球環境の寒冷化と乾燥化にともなうという思想だ。乾燥化により森が消え草原がひろがった。そこに草食哺乳類が誕生した。人間は哺乳類を追いながらヒトとなった。真理は単純にして美しいというが、この思想の美しさはなんだ!
生命は冒険家だ。原始の海洋に誕生した生命は、陸に上り、そして森から草原へ砂漠へと進出した。草原や砂漠の生き物が生命進化の最先端に位置する。
砂漠地帯がなにゆえ紛争地か。それは文明の起源地にならずものが土足で踏み込んでいるからだ。彼らは文明の誇りにかけて戦っている。