




授業の目標
現代社会を支える通信システムの基本的技術、特に無線信号波形の記述と変復調について学ぶ。講義だけではなく演習(宿題)を通して理解を深める。
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p> 主要達成目標:
下記の各項目を理解し数式を用いて正確に説明できること。
<ol> <li>確定信号および不確定信号の波形と周波数の関係。</li> <li>主要なアナログ変調信号とその生成・復調および相互関係。</li> <li>主要なディジタル変調信号とその生成・復調および相互関係。</li> </ol>
授業の位置づけ
この授業は、工学部電気電子・情報工学科の電気電子工学コースの専門科目授業です。情報通信分野に進む学生の基礎となるような、正確で体系的な議論を行うと共に、他のエネルギー、デバイス、計算機のような分野に進む学生にとっても、電気系を卒業した学生に「世間」が期待するレベルの無線システムに関する基本的な知識を与えるものです。なお、この授業では、情報の無線伝送の技法の紹介にとどめ、雑音による無線伝送誤りの解析や誤り処理技術については、大学院の講義(工学研究科電子情報システム専攻の情報通信システム特論)にゆずります。
バックグラウンドとなる科目
この授業は、実数関数の解析、確率過程論、複素関数などの基礎知識があることを前提とする。必要な数学的知識は、授業の中でも、随時講義・復習する。
教科書
市販の教科書は使用しない。配布プリント(約50頁)を教科書として使用する。
参考書
講義中に指示する。
John G. Proakis著 Digital Communications、McGraw Hill社 を推薦する。
担当教員
名古屋大学エコトピア科学研究所 教授 片山正昭
課題
2005年度の宿題
宿題 No. 1 (PDF 文書, 59KB)
宿題 No. 2 (PDF 文書, 54KB)
宿題 No. 3 (PDF 文書, 52KB)
宿題 No. 4 (PDF 文書, 58KB)
宿題 No. 5 (PDF 文書, 45KB)
宿題 No. 6 (PDF 文書, 59KB)
宿題 No. 7 (PDF 文書, 57KB)
宿題 No. 8 (PDF 文書, 59KB)
スケジュール
回 | 講義内容 |
---|---|
1 | 第1章 無線通信システムの基礎 有線通信と比較した無線通信の特徴と無線通信システムの基本構成要素を理解する。 |
2 | 第2章 確定信号と周波数スペクトル [1] 確定信号と不確定信号(確率過程)との違いを理解する。周期関数の周波数表現(フーリエ級数展開)を復習する。 |
3 | 第2章 確定信号と周波数スペクトル [2] 連続確定関数のフーリエ変換を理解し、また基本的なフーリエ変換対について学ぶ。 |
4 | 第2章 確定信号と周波数スペクトル [3] 狭帯域信号および線形時不変システムその数学的表現を学ぶ。 |
5 | 第3章 変調の基礎 変調とはどういうことなのか、また変調方式はどのように分類されるのかを学ぶ。 |
6 | 第4章 アナログ変調 [1] 無線信号の振幅で情報を表現する方式 [DSB、AM、SSB、VSB]における変復調の手法について学ぶ。 |
7 | 第4章 アナログ変調 [2] 無線信号の位相・周波数で情報を表現する方式 [PM、 FM]における変復調の手法と、これら二つの信号方式の関係について学ぶ。 |
8 | 総合演習 今まで学んだ内容について、小テスト形式で演習を行い理解を深める。 |
9 | 第5章 自己相関関数とそのフーリエ変換 自己相関関数の導入で、不確定信号と確定信号を統一的に取り扱えることを理解する。また自己相関関数のフーリエ変換・電力密度スペクトルの意味を学ぶ。 |
10 | 第6章 線形ディジタル変調方式 [1] 線形ディジタル変調の波形とスペクトルの関係について学ぶ。 |
11 | 第6章 線形ディジタル変調方式 [2] 線形ディジタル変調信号の受信方法と、各種の方式の性能の比較について学ぶ。 |
12 | 第6章 線形ディジタル変調方式 [3] 定包絡線変調といわれるクラスの変調方式について学ぶ。 |
13 | 第7章 ディジタルFMとOFDM 非線形な変調方式であるディジタルFMについて学ぶ。MSKについて学ぶことで、ディジタルFMと線形ディジタル変調の関係を明らかにする。また無線 LANやディジタル地上波テレビジョン放送等で採用されているOFDM方式についても学ぶ。OFDM方式は「信号をゆすぶる」という古典的説明では理解できない信号形式であり大学で「ちゃんと勉強する」価値がある方式である。 |
14 | 第8章 スペクトル拡散 無線LANや携帯電話で用いられているスペクトル拡散技術について学ぶ。 |
15 | 第9章 多元接続 無線伝送の共通媒体である空間を複数の信号で共有し使用するための多元接続技術について学ぶ。 |
成績評価
- 達成目標の1〜3を同じ重みで評価する。
- 中間試験40%、期末試験40%、演習20%で評価する。
- 100点満点で55点が単位修得の最低条件である。

最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。