




授業の目標
ニュートンの運動方程式のもとづいて質点の運動について復習したのち、ラグランジェ形式による運動方程式にもとづいて、多自由度の振動、剛体の運動を統一的に解析する手法を学習し、さらに変分法、正準方程式など量子力学と密接に関連する力学体系を学習する。
授業の位置づけ
この授業は、工学部物理工学科のなかの専門基礎科目として位置づけられている。同学科の応用物理学コースと量子エネルギー工学コースの2年生が対象である。前提となる授業科目は、1年生が学習する「力学1」、「力学2」、「微分積分」および「線形代数」である。
バックグラウンドとなる科目
「力学1」、「力学2」、「微分積分」および「線形代数」
教科書
講義ノートが教科書である。
課題
練習問題を講義ノートの各章の末尾に記載した。これらを演習問題として利用している。
スケジュール
講義ノートは11章からなっている。1回の授業は実質2時間半の「講義+演習」である。講義を15回で終了させるためには、各章の内容を取捨選択する必要がある。下記に示したスケジュールはかなりきついものとなっている。演習内容・時間を十分とるためには、通年の科目とするほうが望ましい。各章には練習問題がつけられている。演習問題として利用して頂きたい。
回 | 取り扱う章 | 内容 |
---|---|---|
1 | 第1章 ニュートン力学 | ニュートン運動方程式の復習と簡単な1次元運動の例 |
2 | 第1章 ニュートン力学 続き | 運動方程式の極座標表示と2次元運動の取り扱い |
3 | 第2章 中心力と運動 | 中心力が働く場合の一般解の特徴とその例として惑星の運動を取り扱う。後者は演習に回してもよい。 |
4 | 第3章 散乱問題 | 中心力が働く場合の例として、散乱問題がある。この取り扱いの特徴を説明すると同時に、幾つかの例題を解く。 |
5 | 第4章 ラグランジェアンとラグランジェ方程式 | ラグランジェアンの導入と、これから導かれるラグランジェ運動方程式について学ぶ。結果としてはニュートン方程式と同等であるが、ラグランジェ形式の優位点を理解する。 |
6 | 第5章 微小振動 | ラグランジェ形式の代表的取り扱い例として振動の問題を取り上げる。微小振動の考え方を学び、自由度の多い系の問題の取り扱い方法を習得する。 |
7 | 第5章 微小振動 続き | 多自由度の振動の例題を取り扱う。その振動の特徴について学ぶ。 |
8 | 第6章 剛体の運動 | 剛体の運動を取り扱う場合には、質点の質量に対応するものとして慣性テンソルが導入されることを理解する。これを用いて運動エネルギーを記述する方法を習得する。 |
9 | 第6章 剛体の運動 続き | 慣性テンソル、慣性モーメントの計算方法を習得する。 |
10 | 第7章 剛体のラグランジェアンと運動方程式 | 剛体の運動方程式がどのように記述されるかを学び、簡単な例題を取り扱う。 |
11 | 第7章 剛体のラグランジェアンと運動方程式 続き | さらに進んだ例題を取り扱い、計算方法を習得する。 |
12 | 第8章 オイラー角とコマの運動 | 回転する物体の表現方法としてのオイラー角の導入を学び、コマの簡単な運動を例題として取り扱う。 |
13 | 第9章 変分原理 | 運動方程式導出の基本概念である変分原理を学び、その応用例題を取り扱う。変分原理と最小作用の原理が結びついていることを理解する。 |
14 | 第10章 仮想仕事の原理 | 力学の原理を別の見方で表す仮想仕事の原理について学び、この原理からラグランジェの方程式が導かれることを理解する。 |
15 | 第11章 ハミルトンの原理 | 最小作用の原理からハミルトンの原理が導かれること、およびハミルトン運動方程式の内容を理解する。量子力学との類似性について学習する。 |

最終更新日:2015年12月21日
最終更新日の時点の講義内容で公開を行っております。
最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。
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