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授業ホーム講師紹介講義資料

開講部局:エコトピア科学研究所

松波紀明 准教授

最終講義 - イオンビームを用いた物性改質及び分析

授業時間 2012年度退職記念講義
日時 2013/3/11 15:30-16:30
場所 共同教育研究施設2号館8階801会議室

退職にあたって

名古屋大学の学生、教職員、事務職員の方々への最終講義に関する挨拶です。昭和46年(1971)に名大原子核工学科を2回生として卒業、その5年後、大学院工学研究科原子核工学専攻修了してから平成25年3月まで長い間名古屋大学で教育と研究に携わることができ、無事退任できることを幸いに思います。いろいろお世話になった多くの方々に、この紙面をかりて感謝するとともに皆さんへのメッセージを残したいと思います。

学生の皆さんへ、大学での講義は学生諸君自身で進めるものです。大学では、いかに頭を働かせるかを学ぶ所です。知識の記憶は重要ではありません。教育とは何かを時々自問してください。大きな苦痛を伴う講義は大学の本来の講義ではないはずです。講義の短い時間で全てを理解するのは無理だと思います。少しでも理解する努力をして、興味の持てる分野をみつけてのばしてください。

幸運にも、私は学位取得後、カナダ国の援助を受け、2年間オタワから西にあるカナダ原子力研究所固体物理部門で研究できたこと、外国人研究者と付き合えたこと、英語を学習できたことが大いに役立っています。学生、若い研究者の方々にはぜひ、世界での活躍を期待します。日本は自然資源が乏しい国です。人的資源の活用、例えば無宗教(外国人には無宗教と言わないように)である事を利用した外国との付き合いなどを考えて下さい。

私の研究の一部を紹介します。私は量子ビーム、特にイオンビーム(数十eVから数100MeV)による材料特性改質の研究を進めてきました。材料特性改質は「イオン照射損傷」イメージからの脱却への挑戦です。TiO2の光触媒水分解効率が0.1MeV Nイオン照射によって約2倍増加すること(イオン照射によるTiの価数変化によって説明可能)、Al, In, Mn-doped ZnO薄膜の電気伝導度がイオン照射によって数桁大きくなること(主な要因はイオン照射によってAl, In, Mn等3価の元素がZn位置に置換(イオン照射誘起ドーパント置換)として説明可能)を見つけました。

ドーパント置換は通常の熱的処理では起こらないのでイオン照射特有の非熱的過程の結果と考えています。イオン照射誘起ドーパント置換の直接的証拠が望まれます。非弾性衝突(電子励起)効果による原子変位の直接観測として電子励起スパッタリングの研究を原子力研究所との共同研究として進め、バンドギャップが要因のひとつであることを提案し、電子励起スパッタリング率の定量化(定式化)に取り組んでいます。イオン照射による酸化物・窒化物の光学特性変化を産総研との共同研究として行いました。イオン照射によるバンドギャップ変化を観測しましたが、価電子帯、伝導帯どちらがイオン照射により大きく影響を受けているのかの解明は今後の課題です。イオン照射による価数変化の測定、物性に与える影響、例えば光学特性、磁気特性変化に挑戦中です。

またイオンビームを用いた固体材料分析(組成、不純物、薄膜の厚さ等)も進めてきました。特に水素同位体検出に長く関わってきました。核融合炉壁材料の酸化の可能性を指摘し、酸化層(Fe2O3, WO3)中の重水素吸蔵量を測定し、母材よりも酸化層での吸蔵量が大きいことを示しました。最近、名大工学研究科及び核融合科学研究所との共同研究として、コンパクトプラズマ照射源とイオンビームを結合し、プラズマ照射下での固体材料中の水素の動的挙動のその場計測装置を開発し、グラファイト中の動的水素吸蔵(プラズマ照射下での水素吸蔵量がプラズマ照射を止めた後に減少する)など興味ある成果を得ました。みなさまには応用・開発研究のみならず基礎研究への挑戦を期待して最終講義の挨拶とします。

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