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開講部局:工学部・工学研究科
福田敏男 教授
最終講義 - マルチスケールロボティクスの未来
授業時間: | 2012年度退職記念講義 |
日時 : | 2013/3/6 15:00-16:30 |
場所 : | ES総合館1階ESホール |
時の流れとともに変わりゆくものと変わらぬもの
鴨長明の方丈記の有名な一節「行く川の流れは絶えずして……」が好きでいつも研究に当てはめている。時の流れは不可逆であり、それ故に研究テーマの選択は重要で、古いものにしがみつき変わらないと問題を起こす。「うたかたのように澱んでいたら」変わらず、潰れる大企業も研究者もしかりである。最近の研究バブルの古今東西、過去40年を見てみると研究テーマも評価方法も変わってきた。しかしながら、 全ての人が適応できるわけではなく、ダーウィンの法則に基づき、適応できるものが今も大いに研究を続けてやっていることは変わりない。
古今東西、大学の研究は採用のときは大したMetricもなく、縁故関係なのにもかかわらず、その評価は甘くいい加減であるし、評価する人を評価するしくみがほとんど無いことは変わりない。このように非効率的ぬるま湯と批判されても、これが大学の自由な研究を支える基本であり、日本では特に強く、将来の日本の研究を支えることには変わりはない。早急に結果を出したければ、目的オリエンテッドな研究プロジェクトをすればよいが、日本ではこのグローバルで、 学際的なプロジェクト志向の研究は苦手で、良いリーダーが昔から相変わらずあまりいないことは変わりない。
名古屋大学の良いところは、規律・規則は変わらないと言いながら、実際には時の流れとともに現実に適応し規則・組織すら自在に変えていき、青天井研究を保証し、若老男女を問わず、自由闊達に研究に勤しめるところを変えないことである。この懐深いところは世界広しといえど、名古屋大学ならではであろう。