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開講部局:教育学部・教育発達科学研究科
的場正美 教授
最終講義 - 授業分析の到達点と可能性
授業時間: | 2012年度退職記念講義 |
日時 : | 2013/1/31 14:00-15:30 |
場所 : | 教育学部大講義室 |
授業分析と教育現象の記述言語の可能性
私の所属していた教育方法学研究室の共同研究は、授業分析と呼ばれる研究です。アメリカやドイツなど諸外国の教授理論を枠組にした研究が主流である中で、授業の詳細な記録を自らも変化する解釈者として分析・解釈するという動的で相対的な立場で授業分析を進めてきました。この研究の中核は、一方で認知理論や教授学の理論における概念と概念の関係を抽出し、他方で授業実践の分析と解釈から授業諸要因の関連構造を導き、そして概念の関連構造と授業諸要因の関連構造を照応し、理論的関連構造を再構成することでした。
しかし、子どもや教師の発言や活動から要因を抽出するには、解釈に飛躍が伴い、不安定であるという問題があり、概念と要因とを同じレベルで比較し再構成することに困難がありました。解釈には飛躍が伴うのは当然ですが、安定して飛躍するために、教師と子どもの発言と活動そして解釈の過程を記号によって明示化するという研究に着手し、柴田好章准教授そして大学院学生との共同研究として、これまでに45種類の記述言語の形式を開発しました。教育現象を記述する言語を開発する研究は無謀なことかもしれませんが、理論と教育実践を同レベルで論じることができる基礎を形成しているという展望を得たときには胸がおどりました。教育現象の記述言語の開発研究は私の在任中には完了しませんでしたが、次の世代がその研究を継続しています。