



開講部局:教養教育院
飯野和夫 教授
フランス語1
授業時間: | 2013年度前期月曜3限 |
対象者: | 文系学部1年 1.5単位、週1回15回 |
本授業の目的およびねらい
言語文化科目「フランス語1、2、3、4」は全体として、読む・書く・聞く・話すというフランス語の全般的運用能力の養成を目的とする。 また、フランス語圏の社会・文化に親しませることも目的とする。授業は毎週2回である。 授業の具体的なねらい(目標)は、一方の授業では、基礎的文法事項の修得であり、もう一方の授業では、会話・作文・講読といったフランス語の基礎的運用能力の修得である。 本授業は前者の文法の授業である。 文法の解説の合間には、フランス語圏の社会・文化についても基礎的な情報を与えていく。
授業の工夫
以下に、私が授業を展開する際に取り入れている「授業の工夫」を掲げます。
(1) 発音の基礎をしっかり
授業が始まって最初のころは、あいさつの表現などを学びながら、発音の勉強をします。 外国語の発音は日本語の音でなぞろうとしてはいけません。 フランス語の発音の仕方をしっかり覚えることから始めます。
一方、フランス語には都合のいい点もいろいろあります。 たとえば、つづりと発音はほぼ対応しています。 知らない単語でもつづりを見れば読めてしまいます。
(2) 動詞の活用は効率的に覚える
フランス語の動詞は主語の人称に応じて活用します。 ですが、こうしたことは、英語以外の西洋のどの言語にも認められます。 活用については、フランス語の動詞の90パーセントは同じ活用をしますから恐れるに足りません。 残りの動詞の活用にもある程度の規則性はありますし、「私」と「あなた」の活用を優先的に覚えるなど工夫して進めます。
(3) 名詞の性の区別も暗記は減らす
フランス語の名詞は、物や抽象概念を表す名詞も含めてすべて形式的に男性名詞、女性名詞に分かれます。その際、その名詞の綴りが
1)-eで終わる --> 女性名詞
-e以外で終わる --> 男性名詞
という、名詞の性の区別にかかわる便利な指標があります。
ただし、この指標に優先する規則が二つあります。
2) まず、人間の男性を示す名詞は男性名詞、女性を示す名詞は女性名詞になるという規則です。
3) さらに、語尾の形で、男性名詞か女性名詞かが決まってくるものがあります。その内、上の1)の指標と矛盾する語尾、すなわち
「-eで終わるが男性名詞」になる-ageと-isme、
「-e以外で終わるが女性名詞」になる-ion, -té, -aison
は、あらかじめ別扱いにしなくてはなりません。
さて、3)に挙げた語尾をあらかじめ除外すれば、語末が-e以外であることは男性名詞のほぼすべて(97% ほど)に当てはまり、語末が-eであることは女性名詞の80% 近くに当てはまります。
結局、暗記は-eで終わる名詞の残りの20%ほどに該当する男性名詞にしぼればいいことになります。 具体的には、livre, sable, service, silence, téléphoneのような男性名詞ということになります。
(4) 語彙や文法事項に英語の知識を応用
ラテン語の語彙はフランス語の語彙の基盤になっているほか、英語にも流入しています。 さらに、11世紀からおよそ300年間、フランス語を話すノルマン人がイングラントを支配したことで、 フランス語と英語の語彙の共通性はさらに飛躍的に大きくなりました。
多くの場合、知っている英単語と同語源のフランス語単語は一見してそれとわかります。 それ以外にも、一見してわからなくても次のような単語は対応関係にあります。
school - école, student - étudient, state - état, scribe - écrire, stranger - étranger, spice - épice, spell - épeler, etc.
英語の単語との対応関係を知れば、多くのフランス語の単語の意味が簡単に頭に入ります。
文法面でも英語とフランス語には似た点がいろいろありますから、フランス語学習に英語の知識を応用していきます。
(5) 辞書を使って読む
一年の終わりには、辞書を使いながらフランス語のまとまった文章を読むことにも挑戦します。 なるべく大学生の皆さんの知的好奇心を満足させるような文章を考えています。

最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。