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開講部局:教養教育院
窪田由紀 教授
基礎セミナー - ジェンダーを学ぶ
授業時間: | 2012年度前期木曜4限 |
対象者: | 文系学部1年生 2単位、週1回全15回 |
授業のねらい
ジェンダーとは、生物学的な性=セックスに対して、社会・文化的に構成された性のことです。 本セミナーでは、日常生活や社会の様々な現象をジェンダーの視点から問い直す過程で、文献の検索方法、レジュメの作成方法、発表や討議の方法などの基礎を身に着けることをねらいとします。
授業の工夫
基礎セミナーは特定のテーマを通して、大学での学び方を体験し、身に着けることが目的とされています。
従って、テーマ自体が何であるかはそれほど重要ではないのかもしれないのですが、私自身は大学での学びの基礎として「ジェンダー」をテーマに取り上げたことには一定以上の思い入れがあります。
高校までの学びは、既存の知識を受身的に吸収するものが多く、特に受験対策として「正解」を「記憶する」パターンにいつしか習熟してしまっているのが実情です。それに対して、大学での学びは、問題を発見し、資料を収集し、集めた資料を批判的に検討して自分なりの論理を構成することが求められます。これまで当たり前だと思っていたことを、まず疑ってみるという姿勢が重要となります。
高校までの学習では殆んど学ぶ機会がなかったジェンダーという概念に触れることで、これまで当然のように受け入れていた性差が、生物学的要因に規定される生得的なものよりも、社会文化的に構成されたジェンダーによるものが圧倒的に多いこと、生物学的な性別ですら単純な二分法では説明がつかないこと等を知ることになります。ジェンダーに敏感な物差しを手にいれることで、世の中の見え方が大きく変わる体験をします。
そういうわけで、既存の枠組みをそのまま受け入れるのではなく、まずは疑ってみる姿勢を形成する上で、この時期のジェンダーについての学びが重要だと考える次第です。
前半では、まずは教育、労働、恋愛、結婚、子育てといった身近な生活や、受講生が専攻する文学、法学、経済学、心理学等の学問をジェンダーの視点から見直した文献を分担して講読し、各自の日常体験と照らしながらの意見交換が活発になされるよう努めました。このようなプロセスが繰り返されるなかで社会のあらゆる領域にジェンダーが関わっており、自分たちがいかにそのなかに組み込まれてきたかに否応なく気づいていくことなります。
後半は、前半の学びのなかで関心を抱き、さらに深めたいと思うことを、リサーチクエスチョンとして構成します。受講生たちは、家族、母性、産業化、教育、言葉における性差、間接差別、女性の社会進出、男性の家事育児参加、ポジティブアクション、ヨーロッパ社会、イスラム社会などなど、多彩なテーマが選択されました。キーワードを工夫しながら文献を検索し、読み込み、さらにそこから新たな資料を探し、深めていきました。その成果がプレゼンと最終レポートとして結実しました。
一人発表10分質疑3分という限られた時間でしたが、堂々と発表する姿に感銘を受けました。発表時に相互評価を行ったのも互いに真剣に臨む意味では有効であったと思います。
プレゼンの資料については、教養教育院基礎セミナー部会のご理解とご支援をいただいて、資料集として形にすることができました。大学での学びの出発点として今後の発展の礎となればと思っています。

最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。