
- ホーム >
- 退職記念講義アーカイブ >
- 退職記念講義2011 >
- 最終講義 - お別れの言葉 >
- 授業ホーム




開講部局:国際言語文化研究科
飯田秀敏 教授
最終講義 - お別れの言葉
授業時間: | 2011年度退職記念講義 |
日時 : | 2012/1/26 13:00-14:30 |
場所 : | 全学教育棟1階S14教室 |
外国語教師としての37年を振り返って
私は1975年に当時の教養部に英語教員として奉職し、1994年からは韓国語を担当してきました。在職期間のほぼ半分ずつ英語と韓国語の教育に従事してきたのですが、そのお陰で既修外国語(英語)と未修外国語はどちらも重要であり、まさに車の両輪であることを確信することができました。
英語は世界共通語としての地歩を固めて久しく、大学教育におけるその重要性を疑う余地はないと思われます。国際的な商業活動も学術活動もほとんどが英語を媒体として行われています。しかし、英語の重要性が強調されるあまり英語さえできればよいとする画一的思考が支配的になりつつあることには、大いに危惧の念を抱かざるを得ません。外国語を習うことは、とりもなおさず、母語によって育まれたのとは異なる価値観に接することであり、それによって価値観の相対化が生まれます。しかし、世界には多様な価値観が存在する以上、相対化から多様化へと向かわなければ、真の国際的視野の養成は望めません。それには、未修外国語の学習が重要な役割を果たしています。
以前、山本一良先生と外国語科目のカリキュラム改革の仕事をしていたとき、「未修外国語は大学のステータスシンボルだ」とおっしゃっていただき、感銘したことがあります。国際社会で活躍する人材を養成する任務を担う本学に、この良識がいつまでも健在であることを祈りつつお別れの言葉といたします。