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開講部局:情報科学研究科
石井健一郎 教授
最終講義 - 企業の研究、大学の教育
授業時間: | 2011年度退職記念講義 |
日時 : | 2012/3/16 15:00-16:30 |
場所 : | IB電子情報館中棟1階015講義室 |
情報科学とともに歩んだ9年間
私は企業の研究所に29年間勤めた後、平成15年4月に名古屋大学大学院情報科学研究科に職を得ました。平成15年は丁度情報科学研究科が発足した年であり、名古屋大学で過ごした9年間は、研究科の発展とともに歩んだ日々でもありました。研究科の名称にも取り入れられている「情報」は、今では私達にとって馴染みのある言葉として受け入れられています。しかしながら、学問としての「情報」については、必ずしも正しく理解されているとは思えません。一般の人達はもちろん、学生ですら「情報」を電子文具やプログラミングに関する学問と捉えているという場面に何度か遭遇しました。
私自身は工学分野の出身で、名古屋大学ではパターン認識・学習の講義を担当し、対話エージェントの設計をはじめとするコミュニケーション研究に取り組んできました。これらも「情報」が関わる魅力的な研究・教育対象に違いありません。しかし、文理融合を標榜する情報科学研究科の扱う「情報」は非常に広範にわたり、私自身が関わった「情報工学」はその一部に過ぎません。情報科学とは何かという問に対し、私なりに納得のできる解に到達したかったのですが、それを果たせないまま、退職の日を迎えてしまいました。情報科学を理想的な学問として構築する夢は、今後活躍が期待される若い皆様方に託したいと思います。