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開講部局:理学部・理学研究科
前田雄一郎 教授
最終講義 - 蛋白質間相互作用のおもしろさ、奥深さ:アクチン研究の現場から
授業時間: | 2011年度退職記念講義 |
日時 : | 2012/3/2 13:00-14:00 |
場所 : | 理学南館大講堂(坂田・平田ホール) |
名古屋大学という場
私は名古屋大学理学部で博士号を取得した後、生物物理学分野の研究者としてドイツの研究所で13年半、民間企業(松下電器産業=当時)で6年間、理化学研究所で8年間、名古屋大学で8年間といろいろな組織と文化を経験しました。経験を通じて私なりに確信したことがあります。第一に自然科学の研究のためにも、社会科学、人文科学の分野の研究者と直接交流できる総合大学という場が極めて重要であること。第二に個性的で独創的な研究者が同じキャンパスにいることがだいじであるということです。私は名古屋大学がそのように優れた場を与えてくれたことに感謝していますし、もっと優れた場になって欲しいと希望しています。
大学に来て痛感したことは講義をすることがどんなに重要かつたいへんな作業かということです。研究者は自分の専門の分野に関することでも知識に穴を残したままになっているものです。これでも研究活動はできるが、しかし穴を埋めることができればもっと優れた着想を得ることができるというものです。講義をすることは第一に我々の知識に体系を与えることであり、第二に知識の穴を埋めることであると悟りました。まったく教育の経験がなかった私の不十分な講義を受けた多くの学生諸君には誠に申し訳ない思いです。講義の第三の意義は、学生諸君に科学のおもしろさと研究への情熱を伝えることです。内容は不備だったけれど、情熱は伝わったと言ってもらえれば望外の幸せです。