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開講部局:教育学部・教育発達科学研究科
速水敏彦 教授
最終講義 - 動機づけ研究の歩みと到達点 〜さて、上がってきたのか、下がってきたのか〜
授業時間: | 2011年度退職記念講義 |
日時 : | 2012/1/25 14:00-15:45 |
場所 : | 教育学部大講義室 |
風は吹きますか
若い頃、母校で教鞭がとれることになろうとは全く予想できなかったが、大阪教育大学で12年間過ごした後、昭和62年から25年間も名古屋大学で過ごさせていただいた。その間、私の周りにはいい風が吹いていたようだ。失敗や葛藤はいくつもあったけれど、総じて多くの優秀で思慮ある人々に囲まれ、大病をすることもなく、自由に研究や教育に打ち込み夢を追うことができた。研究や教育以外の大学内外での重要な仕事にも参加させていただく機会も得、見聞を広めることもできた。
人間形成の法則を問題にしてきた教育心理学者である自分がいうのはおかしいが、今思うのは、人は偶然や運に大いに左右されて生きているということだ。私自身、恩師たちや同僚、友人などの出会いや助言がなかったら、また家族が健康でなかったら随分違った人生であったようにも思う。
社会には思いがけない自然災害のような嵐だけでなく、政治的・経済的な強風が吹き荒れることもある。大学も今、厳しい風に晒され始めている。しかし、若い人たちには目標達成の困難さを時代のせいにすることなく、強い風にしっかり対峙し、いい風が吹く日を信じて努力してほしい。研究のセレンディピティも風雨の中でも武骨に不断の努力を重ねることで微笑んでくれるのではなかろうか。
名古屋大学でお世話になったすべての方々に深く感謝申し上げる。去る日が近づくにつれてなんとも感傷的だが当たり前のようにみていたキャンパスの木々も愛おしい。
爽やかないい風が大学に吹いてくれることを念じつつ。