
- ホーム >
- 退職記念講義アーカイブ >
- 退職記念講義2011 >
- 最終講義 - Interactions between Development Economics and the Japanese Economy : Retrospect and Prospect(開発経済学と日本経済をめぐって:回顧と展望) >
- 授業ホーム




開講部局:国際開発研究科
長田博 教授
最終講義 - Interactions between Development Economics and the Japanese Economy : Retrospect and Prospect(開発経済学と日本経済をめぐって:回顧と展望)
授業時間: | 2011年度退職記念講義 |
日時 : | 2011/2/10 10:30ー12:00 |
場所 : | 国際開発研究科棟8階多目的オーディトリアム |
研究・教育と心の余裕
名古屋大学には、学生時代に6年間、教員となった1991年から21年間お世話になった。なじみの深い母校での教員生活は、一緒に働いた人たちにも恵まれ、実に快適で楽しいものであった。特に、新設の国際開発研究科での多様な経験と世界各国からの優秀な大学院生との知的交流は、私の大切な財産となったことを心から感謝している。
21年間の教員生活を振り返って、自戒を込めて思うのは、 研究にも教育にも心の余裕が必要だということである。そして、良い研究と良い教育は相互に補完的で切り離すことができない。時には、ゆったりと研究全体を見渡して、物事の本質に迫っているかどうかを確認する作業が必要である。自ら振り返れば、研究がどれだけ的を射て、社会にとって意味を持ったのか、はなはだ心許ない。教育面でも、教員がどっしりと構えて、「方向は自分で見つけるもの。見ているから思い切ってやってごらん」という雰囲気を醸し出さないと、学生も自由な発想での研究能力を発揮しにくい。そして、やっかいなことに私のような凡人には、時間的余裕がないと、心の余裕は授からない。
最近は、アカウンタビリティや評価の重要性が認識され、それ自体はよいことであろうが、世の中何かと忙しい。しかし、それは名古屋大学においては過渡的な問題となり、研究・教育業務システムの効率化がますます進み、心と時間の余裕がある研究・教育が一層発展するものと期待している。