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開講部局:経済学部・経済学研究科
皆川正 教授
最終講義 - 経済政策の基礎
授業時間: | 2009年度退職記念講義 |
日時 : | 2010/2/23 15:00- |
場所 : | 経済学部第2講義室 |
定年をむかえて
名古屋大学に講師として赴任してほぼ35年になります。当時は高度成長真っ盛りであり、私の大学時代の友人の多くは銀行、商社など大企業に夢を託して就職していきました。大学院に進学することはめずらしい時代でした。やがてバブル期を迎え、これまで一部の経済学者の間で理想の体制と考えられていたソ連も崩壊しました。日本はその後、バブルの後遺症に苦しみ、世界的不況のあおりを受けて未だに苦境を脱せない状態にあります。世紀末から世紀の初めにかけて社会は大きく変わってしまいました。
大学の環境も同様です。大学院の重点化あるいは法人化といった抜本的な制度改革により、研究と教育の在り方が昔とは全く違ってしまいました。もちろん、こうした変化は、ある程度致しかたないことなのかもしれません。しかし、最近の、特にまだこれから嘱望される若い研究者が様々な雑事と単なる事務上の書類作成に追われているのを見ますと、本当にこれでいいのかという思いにとらわれます。また、教育面におきましても、すぐに役立つ知識ということがまず求められておりますが、それでいいのでしょうか。
ともあれ、多くのすぐれた先輩、同僚そして学生に恵まれながら定年まで研究と教育を続けることができましたことは、私にとって大変幸せでした。30年以上にわたって私を支えてくれた名古屋大学に対しあらためて感謝申し上げたいと思います。