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開講部局:農学部・生命農学研究科
松本哲男 教授
最終講義 - 開発途上国の農学・農業・農村問題に取り組んで
授業時間: | 2009年度退職記念講義 |
日時 : | 2010/2/19 15:35-16:20 |
場所 : | 生命農学研究科第12講義室 |
開発途上国の農学・農業問題に取り組んで
センター設立半年後の1999年10月、教授として多国籍企業から転職して以来、10余年の間、とてつもなく忙しく、また楽しく過ごさせていただきました。それまで開発途上国へは農薬開発でよく訪ねたが、赴任後は、開発問題で訪ねることになった。学生時代、ベトナム戦争反対運動に加わったが、それ以外何も出来なかったことに責任を感じていたので、インドシナ半島諸国の農学系大学の教育強化に取り組んだ。特にこの戦争が引き金になって起きたポルポト政権による知識人の大量虐殺の影響が深刻なカンボジアを重点に、王立農業大学の教育改革、大学院修士・博士課程の設立に協力してきた。その時の弟子が昨年新設されたカンボジア初の総合大学、バッタンバン大学の学長に抜擢され、うれしい限りである。2006年からは、カンボジア農村でお酒造りを中心に農産物加工産業振興に取り組み、昨年12月に市販のめどをつけることができ、私の卒業に間に合うことができた。
開発途上国は文明で差があるが、文化に関しては全く先進国を同等いやそれ以上である。東南アジアの食文化はアメリカやイギリスのそれよりはるかに豊かといえる。どちらが野蛮な国かは、イラク戦争が教えてくれた。今、若者は外の世界へ目を向けようとしない傾向がある。私は言いたい、「若者よ、ケータイを捨て、世界にでよう!」と。「名古屋大学から Nagoya University へ」を担う若い研究者、学生諸君に期待する。