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履修条件あるいは関連する科目等
一般相対論の知識を前提とする。また、前期の開講科目である「観測的宇宙論」 の講義を履修していることが強く望まれる。
授業内容
- 宇宙論の基礎
宇宙論の基礎となる一様等方宇宙についてのポイントをおさらいする。ロバートソン・ウォーカー計量からフリードマン方程式を導き、宇宙論パラメータを定義する。最近大きなトピックとなっているダークエネルギーの観点を強調しながら宇宙の大局的なふるまいについて述べる。さらに宇宙の赤方偏移といくつかの宇宙論的距離の関係をおさらいし、宇宙論パラメータの古典的決定法について述べる。
- 線形摂動論
現代宇宙論で重要な概念の宇宙のゆらぎを取り扱うための理論を解説する。はじめに宇宙のゆらぎを一般相対論に基づいて取り扱う線形摂動論を説明する。一般相対論におけるゲージ自由度について述べてから、具体的に線形アインシュタイン方程式を導く。さらに多粒子系の取り扱いに必須となる一般相対論的ボルツマン方程式の線形近似を解説する。 - 一様等方宇宙におけるゆらぎの生成と進化
線形摂動論を応用し、実際の宇宙でのゆらぎの進化を明らかにする。はじめにインフレーション理論によるゆらぎの生成について概説する。つぎに宇宙の進化におけるゆらぎの成長過程を調べる。ここではおおまかな傾向を掴むため、近似的な取り扱いによって説明する。宇宙の構造形成において重要な概念である遷移関数を導入し、そのふるまいを導く。また、光子とバリオンの相互作用による重要な効果を説明する。 - 摂動宇宙の観測量
宇宙のゆらぎに関する観測量について概説する。とくに宇宙の広域的な構造を 調べる手段として、宇宙背景放射のゆらぎと宇宙大規模構造の観測がある。 これらの観測量が理論的なゆらぎの成長とどのように結び付いているのかを説 明する。
教科書
なし
その他
この講義は宇宙物理学α・宇宙物理学β・宇宙物理学δのいずれか1つと併せてB類(3単位)として認められる。単独では単位として認められない。前年度まで、あるいは翌年度以降に取得した科目と併せても単位として認められるが、同じ科目名同士の場合は、年度・担当教員が異なっていても認められないので注意すること。
スケジュール
回 | 講義内容 |
---|---|
1 | ・ ロバートソン・ウォーカー計量のアインシュタイン方程式 ・ フリードマン方程式の解法 ・ 多成分系の場合 ・ 宇宙論パラメータ |
2 | ・ 宇宙の大局的ふるまい ・ 赤方偏移と宇宙論的距離のまとめ ・ 宇宙論パラメータの「古典的」決定法 |
3 | ・ ロバートソン・ウォーカー計量における線形摂動 ・ ゲージ自由度とゲージ固定 ・ 線形アインシュタイン方程式 |
4 | ・ 線形ボルツマン方程式 ・ インフレーション理論におけるゆらぎの生成 |
5 | ・ 単成分近似におけるゆらぎの成長 ・ パワースペクトルと遷移関数 ・ 光子とバリオンの相互作用効果 ・ 再結合後のゆらぎの成長 |
6 | ・ 宇宙背景放射ゆらぎ |
7 | ・ 銀河の空間分布 ・ 弱重力レンズ場 |
成績評価
講義期間中2回のレポートを課し、その採点結果により評価する。

最終更新日:2007年01月22日
最終更新日の時点の講義内容で公開を行っております。
最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。
最新年度の講義と内容が異なる可能性がありますのでご注意ください。