
- ホーム >
- | 授業一覧
平成27年度 名古屋大学公開講座
名古屋大学リレーセミナー 「秩序と渾沌」
人類はその長い歴史の中で、混沌の中から言葉、音楽、数の概念を生み出し、社会を形成し、人文学、自然科学を育ててきました。 秩序と渾沌の対立は、均質性と異質性、必然と偶然、調和と不調和など、さまざまな言葉で捉え直すことができます。 秩序が望ましいもので、その光があたらない渾沌は忌避すべきものでしょうか。 今年の講座では、両者の間にある緊張関係に注目します。
まず、自然界における秩序の典型としては結晶構造が挙げられます。 平成26年度、青色LEDの発明で赤﨑先生、天野先生、中村先生がノーベル物理学賞を受賞されるという大変喜ばしいニュースがありました。 受賞の元となった実験では、窒化ガリウムの結晶という秩序だった構造に微量の不純物を混入させることが重要です。 このように結晶構造に微量の異物を混入させて得られた半導体は、私たちの生活を劇的な形で変えていっています。
また、社会を考える上でも秩序は重要なモチーフです。 法の概念と秩序は切っても切れない関係にありますし、経済学においては、希少資源を分配する上で市場という考え方が大きな役割を果たします。 では、その秩序の外側はどのようになっているでしょうか。 現代の経済学では、社会的な関係など、市場以外の要素にだんだん光があたるようになっています。
ここで、天才的な物理学者ファインマンが好んで語った、メキシコの酔っ払いに関するジョークをご紹介しましょう。
夜道を歩いていると、目の前の街灯の下で何かを探している酔っ払いを見かけました。 しかし、そのあたりには何も落ちているように見えなかったので、「なくし物ですか? どこで失くされましたか?」と問いかけると、酔っ払いが向こうの暗がりを指差して「あそこです」と答えます。 「ならば、なぜそちらを探さないのですか?」と尋ねたところ「こっちの方が明るいから」と応じる、というものです。
学問はそのまばゆさに惑わされて、光のあたるところばかりが重要視されますが、実は暗いところにこそ目を凝らすことも必要なのではないでしょうか。
ラジオ公開講座
- 開催期間
- 平成27年7月5日(日) 〜 9月6日(日)
毎週日曜日 午前11時〜午前11時30分 - 放送局
- 東海ラジオ放送 (1332KHz)
- 問合せ先
- 研究協力部社会連携課 TEL: 052-747-6584
開講日程 | 講演題目 | 所属 氏名 |
---|---|---|
第1回 7月5日(日) | 混沌から秩序が生まれる ―結晶成長の不思議な世界― | 理学研究科 上羽牧夫 教授 |
第2回 7月12日(日) | 秩序と混沌 ~ヒトの健康な代謝とメタボな代謝~ | 生命農学研究科 下村吉治 教授 |
第3回 7月19日(日) | 経済予測は当たるのか当たらないのか | 国際開発研究科 藤川清史 教授 |
第4回 7月26日(日) | 現代政治における秩序と混沌 | 法学研究科 小野耕二 教授 |
第5回 8月2日(日) | 高度経済成長と公害 | 経済学研究科 小堀聡 准教授 |
第6回 8月9日(日) | 見つけやすいもの、見つけにくいもの: 秩序が背景にあるときと、秩序だった形が目立つとき | 情報科学研究科 川合伸幸 准教授 |
第7回 8月16日(日) | 意思決定における規則性とその乱れ | 環境学研究科 大平英樹 教授 |
第8回 8月23日(日) | 日本語七変化 秩序と混沌のはざまで | 文学研究科 宮地朝子 准教授 |
第9回 8月30日(日) | マイノリティ状況と共生秩序: フランス語圏サブカルチャーにおける差異をめぐるせめぎ合い | 国際言語文化研究科 田所光男 教授 |
第10回 9月6日(日) | 混沌の薬物に秩序をもたらすテラヘルツ波? | 工学研究科 川瀬晃道 教授 |
全学企画
- 開催日時
- 平成27年8月18日(火) 〜 10月15日(木) 火・木曜日 全15回
18:00〜19:30 - 会場
- ES総合館 1階 ESホール
- 募集定員
- 200名
- 応募資格
- 満18歳以上の方
- 申込み期間
- 2015年7月31日(金)まで
- 受講料
- 9,460円
- ホームページ
- http://www.nagoya-u.ac.jp/international/lecture/open-lecture/27.html
- 申込・問合せ先
- 研究協力部社会連携課 TEL: 052-747-6584
開講日程 | 講演題目 | 所属 氏名 |
---|---|---|
第1回 8月18日(火) | 現代政治における秩序と混沌 | 法学研究科 小野耕二 教授 |
第2回 8月20日(木) | 太陽面爆発の科学: 太陽で起きている「秩序」の崩壊過程を探る | 太陽地球環境研究所 増田智 准教授 |
第3回 9月1日(火) | 脳の魅力、がんの不思議 | 医学系研究科 門松健治 教授 |
第4回 9月3日(木) | 日本語七変化 秩序と渾沌のはざまで | 文学研究科 宮地朝子 准教授 |
第5回 9月10日(木) | マイノリティ状況と共生秩序: フランス語圏サブカルチャーにおける差異をめぐるせめぎ合い | 国際言語文化研究科 田所光男 教授 |
第6回 9月15日(火) | 見つけやすいもの、見つけにくいもの: 秩序が背景にあるときと、秩序だった形が目立つとき | 情報科学研究科 川合伸幸 准教授 |
第7回 9月17日(木) | 学校におけるスポーツ活動の陰 ― 運動部活動や運動会で何が起きているか | 教育発達科学研究科 内田良 准教授 |
第8回 9月24日(木) | 秩序と混沌 〜植物の環境と遺伝子発現〜 | 生物機能開発利用研究センター 芦苅基行 教授 |
第9回 9月29日(火) | 米国に22年間滞在して感じたこと | 創薬科学研究科 福山透 特任教授 |
第10回 10月1日(木) | 意思決定における規則性とその乱れ | 環境学研究科 大平英樹 教授 |
第11回 10月6日(火) | 高度経済成長と公害 | 経済学研究科 小堀聡 准教授 |
第12回 10月8日(木) | つながり方の数学 | 多元数理科学研究科 永尾太郎 教授 |
第13回 10月13日(火) | アジアの法と社会: インドネシアの事例から | 国際開発研究科 島田弦 教授 |
第14回 10月15日(木) | ナノ空間から生まれる電子機能 ― 分子でつくる2次電池や太陽電池 | 理学研究科 阿波賀邦夫 教授 |
9月6日(日) | (9月6日開催の名古屋大学レクチャーに公開講座の一環として参加いただけます。) | 工学研究科 天野浩 教授 |